「成程……あの遺跡――FarbeReise(ファルベライズ)の中に存在したマジックアイテムは『⾊宝』と名付けられたのですね」
ラサで発⾒された⼆重構造の遺跡探索で発⾒された内部の遺跡『FarbeReise(ファルベライズ)』と『⼩さな願いを叶える秘宝』――探索を⾏った『⿊のミスティリオン』アリシス・シーアルジア (p3p000397)は⾃⾝らが発⾒した⼩さな傷を治す秘宝に対して正式にラサより『収集依頼』が出たことに安堵した様に胸を撫で下ろした。
――願いを叶える、それは⼈を狂わせる。
欲のない⼈間など少ないからだ――それを『剣砕きの』ラダ・ジグリ (p3p000271)はよく知っていた。
彼⼥もラサの武装商⼈⼀家の出だ。そうしたマジックアイテムを売りに出せば⾼値で買いたたく者が居る事位、想像も易い。
「ラサの⽅針は、事前に『⾊宝』を悪⼈の⼿に渡る前に収集しておきたいという事か。
成程、あの国は王冠を戴く者がいない。『互いが互いを⾒張り合う』事で悪⽤を防ぐと⾔うことか……」
「ああ。しかし、それ故にラサではその状況を芳しく想わぬ者も居るだろう。
ネフェルストでは『⾊宝を確保してネフェルストに届けた者に報酬を出す』という傭兵依頼が出ているらしい」
フレイムタンが差し出した依頼書には『⾚⽝』『レナヴィスカ』『凶』による連名依頼であると記される。その依頼はラサ国内だけではなくローレットにも届いていた。
「ラサは広い。依頼を受けずに利⼰の為にと秘宝を集める者が居る事は否定できない」
「だから、『砂蠍討伐』と『幻想種連続誘拐事件』を解決に導いたあたし達にお声が掛かったって訳っすね!」
先輩達の活躍のお陰っす、と眸を煌めかせるはリヴィエール。
ラサにとっても、そして、各国にとっても⼤きく貢献してきたイレギュラーズ達への信頼の証なのだろう。
「⾊宝の悪⽤を防ぐためにローレットはトレジャーハンターとして未知の遺跡へ挑む……と⾔うことは承知しました。
それで――肝⼼の⾊宝ですが、『傷が治る』『疲労が軽減させる』と⾔ったポーションのような効果を発揮しているのみならば商⼈達の商売道具以上の価値がないように思えますが……それ以上の『⼤きな願いを叶える』可能性はあるのでしょうか?」
アリシスの疑問は尤もだ。ラダもその⾔葉には⼤きく肯いた。
現時点では薬問屋に並ぶマジックポーションとしてしか意味をなさない『秘宝』なのである。
「実は事前調査などでも『より多くを集めればそれだけの⼒を発揮する可能性がある』と出ているっすよ。
その願いがどうやって叶うのかは分からないっす。歪んで叶うかも知れないし、正しく叶うかも知れないし……でも、それだけでも悪⽤したいヤツはわんさか居るっすから……」
だからこそのトレジャーハンター。ローレットであれば悪⽤する⼼配は無いという信頼だ。
「神威神楽のことも気がかりではあるが、FarbeReise(ファルベライズ)の事も全て放置というわけには⾏かないだろう。
彼⽅の情勢と⽐べれば気軽なトレジャーハンターを続ければあの遺跡の謎も⾊宝についても次第に判明することもあるはずだ」
「そうっすね! ⼀先ずは明るく元気に遺跡にダンジョンアタックを繰り返してネフェルストから報奨⾦をゲットするっす!」
お⼩遣いもがっぽがっぽ――!
そうやって笑ったリヴィエールにラダは⼿元にあった依頼書の――⽗の名前が記載された依頼書だ――内容を確認して「貰っていく」とその場を後にした。
*ラサ:ラサで⾊宝(ファルグメント)なるアイテムが発⾒されたようです!
*カムイグラ:巫⼥姫⼀派が⼤規模な⾏動を開始しました!