時は満ちた――と女王は言った。
海洋王国の重鎮達は頷いて、『最後の艦隊』を組織する。
此度の大号令の成功を支えてきた少数精鋭の遊撃探査、その戦術を捨て。
全ての戦力を一堂に会しての大進軍、大進撃、一撃必殺の強行突破。
ゼシュテル鉄帝国の援軍と合流し、威風堂々と風を切る彼等の何と頼もしかった事か。
全ての引き金を引く――命令を下したは己。
だが全てを背負い切れる程強くない。『待つ女』は奇しくもご先祖様と同じように。
この時ばかりは力なく祈るばかりだった。
「頼むぞ、皆。せめて無事で戻ってきてくれ……」
そろそろ頃合いだね、と海賊は嗤った。
海洋王国に魔種。気に入らない奴等が一か所に集まるならばそれは彼にとって何よりの好機だった。
その両方を叩いてこの海を越える――当代のアイス女王には申し訳ないがそこはそれ。
セピアの向こうで色褪せた愛も夢も等しく等価だ。
もう彼女が居なくても。亡霊のように海を彷徨う自分の物語がとうに終わるべきものだったとしても。
海は何時でも彼に微笑んだ。航海は、冒険はきっと変わらずに彼のものだった。
『それを証明するものがもうなくとも変わらない』。
「吾輩こそはドレイク――この海に轟きし『偉大なるドレイク』なり!」
「馬鹿ね、皆。別に、分かってくれとは言わないし。
向こうからすれば冗談は辞めてって話かも知れないけどさ!」
独白めいた魔種はまるで確かな地面を踏みしめるように水上に立っている。
夢幻の如き御伽の城を作り出し、やがて来る『彼等』をいよいよもって迎え撃つ――
「ここを越えるのは、アタシを越えるのはそれでも捨てられない夢か。
アタシと同じ、どうしたって諦めきれない望みか、浪漫か――」
拗ねた乙女のような顔をして極大の怨嗟で呪いは解き放たれた。
悪夢の権能に蕩けてスープに変わるのは、果たしてどちらか――?
トルタ、セイラ、リーデル・コール、ミロワール。
ジェイク、ベーク、そして縁、オクト、そしてプラック……
港にとっても、船にとっても。ここはきっと果ての海。
それは長く苦しい人生という航海に疲れた、遠い、遠過ぎた先。
十重の苦難を越え、二十重の絶望を越えた先に訪れた『決戦』である。
魔種がフェデリアと呼ぶその海域は『絶望の青』の果て。
敗れるか、先へ進むか。静謐過ぎる狂気の海が今大きなうねりを見せていた――
※『深淵眠るオパール・ネラ』の結果で死兆が『40』回復します!
内訳は以下です。総挑戦回数3459回(1/100=34) 勝利3038回 敗北420回 引き分け1回(勝利数/500=6)。
決戦の時が訪れました! ローレットに急行して下さい!