「これはこれは、驚かんばかりのアグレッシブさ……。正に『落ち着け(物理)』でございますね。
『気になってなんかいないんだからね!』というツンデレ美少女の心理で状況の把握を心がけねば」
「戦況の把握はおまかせあれなのだわ。私は中途半端で何処までも平凡だから、覚悟で位は勝って見せるのだわ!」
「ええ、勝利をしたいけれど――ホントに酷いにおいだったわ……。
健全な身体は健全な心から、そして健全な心は素敵な香りから! この国を健全にしなくちゃいけないわね」
「利香ちゃんは『健全』とは掛け離れてる生き物ですけど、魅力で惹きつけてあげますよ。
ただ、あの野郎は赦さない! 逃がすもんですか! あ、頑張りは報告書を見てくださいね」
「ああ、赦す事が出来ぬ存在なのは理解できよう。
……しかし、興味深い程の狂気だな。魔種共も破滅の道を辿る事に気づかないとは、な」
「狂気……。全くもう、僕は勧善懲悪が好きなんだけどな、これだとやるせないじゃない。
放置できないから頑張ったけどさ、命を何だと思ってるんだろう」
「うん。救うために、手を尽くさないとダメなんだ。
この国はおかしいよ。安らかに眠って欲しい人さえ、起こされて……人の気持ちを踏み躙ってるんだ」
「父上、そしてコンフィズリー卿……
……いや、多くを考えるのは後だ。今は目の前を――目の前だけを見据えなければ。
この国が、大変な何かに襲われようとしているのは間違いないのだから」
「うむ。これより先は、この国にとっても――私にとっても正念場となろう。
リンツァトルテが姿を消したのは気になるが――」
(リンツァ様……無理も無い、事件はあまりにも……それに、父上。 父上は必ずしも魔種を盲信している訳ではないのだろうが――それだけに、それだけに……)