かくて運命の歯車は軋みを上げて動き出す――
リンツァトルテ・コンフィズリーは知らない。
シリウス・アークライトは知らない。
ベアトリーチェ・ラ・レーテは知る由も無い。
ダークネス クイーン(p3p002874)が「溜めておくだけのパンドラになぞ何の価値も無い!」と言い切った事を。
「生きたいと思う願いは皆同じ。今こそ奇跡を、その一端を! 我々に、希望を!」
生命に讃歌を送るが如く、コロナ(p3p0006487)が死の大海に抗わんとした事を。
「皆で集めたパンドラだから……」
グレイル・テンペスタ(p3p001964)がそんな可能性(パンドラ)だからこそ賭けたいと考えた事を。
焔宮 鳴(p3p000246)が『あえて焔宮家の鳴として??―「世界を救う奇跡を、民の為使わずして何が奇跡でありましょう」と願った事を。
「アタシゃ信じたいモンを信じるってーのがポリシーでね?
今の天義の状況を見てると神も仏もありゃしないってな感じだが……」
「でも仲間は信じられる」とヨランダ・ゴールドバーグ(p3p004918)は嘯いた。
藤堂 夕(p3p006645)は母の教えを口にした「物事はシンプルに――どちらが良いかで考えましょう」。
イレギュラーズがパンドラを求めるのは『終焉の回避』の為。
大目的に費やすべきパンドラを消耗する事自体が、その実、反対者の言う通りの『極大リスク』である。
「でも、負けたりしたらきっと溜める所じゃ済まなくなるのです」
しかし、今この瞬間――ミミ・エンクィスト(p3p000656)の言う通り、大意は『勝利』の為に。
「束ねた力を敵に叩きつける為の速度が僕にはあります。任せて下さい」
アルプス・ローダー(p3p000034)の自信は今日も変わらない。
ラァト フランセーズ デュテ(p3p002308)は「紅茶を飲み干してしまったとしても、また新たに継ぎ足せば良い。でも、なくなったものは……ティーカップから溢してしまった紅茶は、もう取り戻せないから」と語り、クーア・ミューゼル(p3p003529)は「『燃えさし』すら消えてしまえば、焔はもう生まれようがなくなるでしょう?」と冗句めいた。
この方法を取った以上、退路は無い。
積み上げたチップは膨大で、勝ち残らねば只では済むまい。
だが、イレギュラーズには不思議と恐怖は無かったかも知れなかった。
「死を弄ぶ……俺はああいう女が大っ嫌いでな」
「漠然と集めてきたパンドラが何を為すか、私達が何を為せるか、よ」
「奇跡なんか望むものじゃないわ。パンドラなんて、ほんの僅かな後押しでしかない。
必要なのは、運命を変える……いいえ、捻じ伏せる可能性の力、でしょ。
あたし達の『0%(絶対敗北)』を確信して踏ん反り返ってる奴に、叩き付けてやるのよ。
『これで1%(可能性)、あたし達がイレギュラーズ(想定外)だ』ってね!」
「うんうん。
いつか飲もう、なーんて大事にとっておいたお酒だって、飲めずに死んじゃったら終わりでしょ?
美味しくお酒が飲めるうちに、飲まなきゃいけないのよぉ。
だからぁ、美味しくお酒が飲めるうちにぱーっと使ってしまうの。
だって私――この国の、いいえ、故郷のこと。見捨てられないもの」
レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)、白薊 小夜(p3p006668)と鼻を鳴らしたミラーカ・マギノ(p3p005124)、少しだけ罰が悪そうに言ったアーリア・スピリッツ(p3p004400)にイーリン・ジョーンズ(p3p000854)は言うだろう。
知性の瞳に自信を載せて、朗々たる語り口で勝利を誓うだろう。
「――やりましょう、神が『それ』を望まれる!」
そう。これは、何処までも――勝つしかない戦いだ。
「『神は賽を振らない』。
神は結果のみぞ知る。結果をもたらすのは選択。
選択を行うのは今を生きる人。選択は『可能性』の分岐点。
あらゆる『可能性』を内包するのがパンドラであれば。
闇夜に小さな光を灯すこともできますの――さぁ、神に代わってこの賽を振りましょう」
София・Ф・Юрьева(p3p006503)が謳えば。
怠惰なる神に叱咤を、意地悪な運命に叛逆を。
パンドラの箱の底に張り付いた希望、災厄を払う者達の攻勢の時間が始まろうとしていた――
※投票『冥刻を超える』の結果は『パンドラを使用する』が251票、『パンドラを使用しない』が28票、無効票が2でした。
結果、パンドラが使用され<冥刻のエクリプス>及びシナリオ『ベアトリーチェ・ラ・レーテ』の情報が大幅に更新されました!