「うみ! これがうみなんらね! ププ、うれしい。
うみにはいっても、ププ、ぬれないんら! とっても、たのしい!」
「さて、嬢ちゃん、海はどうだ?
海種だって魔法道具とやらに頼りたくもなるもんだ。おっさんの気紛れってやつだな。
さ、存分に『思い出』を目とその心に焼き付けてくれよ?」
「ほら、シェーラ、今日は月があかるいから海もよく見える。
君の見た事のない――僕の日常の景色、その一部のお裾分けだ。
ふふ、でも、魔法道具に包まれてる今は君も海の者だね」
「海、初めて来たわ。なんだか不思議な感じなのね。
ふふ、ルゥルゥったら『空を飛んでる』みたいね。
訫宮、カザン、ほら、見て。素敵な貝殻があるわ!」
「暗殺令嬢――我(わたし)は汝(あなた)と出会う運命だった。
ご機嫌よう。お嬢様。星の美しき素敵な宴、楽しんでいらっしゃる?」
「リーゼロッテ先輩。ここで一戦交えるって言うと――冗談っす。
リーゼロッテ・アーベントロート。成程ね……食えない相手っすね……」