メフ・メフィート4
「……………」
「おい、どうした。尋常じゃない顔色だぞ」
「……………ああ、お前か……」
「しっかりしろ。何があった」
「嫁が事件に巻き込まれた。
白昼いきなり襲われて……クソ……何だってんだよ!
一体アイツが何をしたって言うんだ……!」
「マジかよ……お前の嫁さんって……すげぇいい子だったのに」
「もう何が何だか分からねぇよ。犯人は気でも触れたみたいに笑い続けてるって言うしよお」
「あの曰くつきのミセス・ロウの姿が見えないって……
まさか貴族様まで事件に巻き込まれてるんじゃないだろうな!?」
「神様に祈りたい気分だぜ。そんなもんが居るならこんな状態になってねえだろうがよ」
「サリューも大丈夫だろうな? クリスチアンが無事ならいいんだが……」
「もう、分かんねぇよ。何もかも」
「『不吉なサーカス』……」
「……相変わらず楽しそうだな。サーカスは」
「俺よ、少し考えたんだが……動きは無い。無いんだから、そんなのオカルトに決まってるんだ。
だけどよ、タイミングがよ。おかしいじゃねえか。なあ、そうだろ?」
「ああ……」
「『まさかあの噂、本当じゃないだろうな?』」
「……………」
「……知らねぇよ。俺は知らねぇ。分からねぇって言ってるだろ!」