#author("2020-03-28T19:02:12+09:00","","")
*TOPログ [#w9c13c8c]
#author("2020-07-01T12:11:23+09:00","","")

**アクエリアの親子 [#m8476171]
「二人共、この度は大儀であった!」
 数日、たっぷりの休養を取った後。
 王宮で勇者を出迎えたイザベラの表情は晴天そのものといった風だった。
 激戦を極めた先の『アクエリア』攻略戦――幾つもの不測の事態をも乗り越え、見事なまでにこれを達成したイレギュラーズに『良い知らせ』が届くのは必然の出来事だったと言えるだろう。ローレットの一員であるイリス・アトラクトス(p3p000883)、更にはその父エルネスト。運命のあやから絶望の海を泳ぎ、偶然と幸運からアクエリアに到達した二人は或る意味で今回の作戦の発動を決定付けた殊勲者だった。二人の所在が知れた事から、海洋王国は『大号令』に相応しき――後半の海を攻略する為の『鍵』を見つけた格好だ。
 二人はその位置を告げるガイドであり、二人は島に取り残された『人質』でもあった。
 イレギュラーズの――海洋王国の戦いがもし万が一『及ぼなかった』なら、生きて帰れた筋はまず無かったと言えるだろう。
「まぁ、私は――その、お父様にかなり助けられましたし」
 些か罰が悪そうに苦笑したイリスに当のエルネストは「――とは言っておりますが、我が娘ながら良くやったと思います」と被せた報告をした。
「……まぁ、はい。可能な限りは」
 殊更に否定するのもおかしく、イリスはもっと複雑な顔になった。
 思えば、かなり久々に父と『長い時間』を過ごしたものだが、相変わらずこの人は。
(……何を考えているか、分からないのよねぇ)
 頬を掻いたイリスは「流石」「ローレット」「エルネスト殿の……」と口々にざわめく海洋高官達の言葉を半分聞き流しながら、何とも『慣れない』時間を過ごしていた。
(……運というか、悪運というか。まぁ、こうなったのは結果的に良かったのかも知れないけど――)
 父(エルネスト)が居なければ間違いなく死んでいたのも間違いない。
 故にイリスとしてはどうしても複雑が勝る局面なのである。
「とにかく! イリスさんとお父様が無事で! 海洋王国は橋頭堡を確保!
 大言壮語の魔種共は尻尾を巻いて逃げ出した! こんな晴れの日を迎えて最高でない訳がありませんわ!」
「うむうむ! 強面堅物のエルネストがイリスの任務を聞くや否や『陛下、ここはぜひ私も参戦させて頂きたく』等と直訴してくるとは思わなかったぞ! 結果として大成功じゃったな! のう、エルネスト!」
 腰に手を当てたカヌレがトレードマークの高笑いをする。
 余計な事を余計に言ったイザベラにエルネストの表情が強ばれば、場は穏やかに温まる。
「ゆっくり休んで頂きたい所ですが……生憎と叶わない。
 ご自身の身体も含めて『死兆』がそうさせてくれないのが厄介ですがね」
 ソルベの言葉にイリスは一つ頷いた。
 自覚は無いが、あと数十日の命だと言われればぞっとしないのは確かだった。
「今回の功績を以て、両名には『海洋王国特別勲章』を授与したいと思います。
 頼ってばかりで恐縮ですが、何とかこの大号令――共に成功を勝ち取りましょう!」
 ソルベの言葉は力強く、己に他人に力を与えるだけの意味合いを持っていた。
 熱量が増す。果てを掴むのだと、誰もがあな遠きを夢想する――
「時に」
「はい?」
「どうして水着を着ているのです?」
 ああ、そりゃあ。面白かったからね。『折角』だったからしゃーないネ!

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''※イリス・アトラクトス(p3p000883)の不明状態が解除され、『海洋王国特別勲章』が配布されました!''


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