#author("2020-06-06T22:41:18+09:00","","")
*TOPログ [#w3501d8b]
#author("2020-07-01T11:16:27+09:00","","")

**ヴァーサス! [#cd96dd76]
「……は……?」
 心底、理解が出来ない――そんな声を発したのは他ならぬ冠位アルバニアだった。
 大海嘯が彼の思惑通り全ての愚かなるモノを呑み込み、吹き飛ばすかに思われたその時。
 戦場――この広いフェデリア全域――には、少女の歌声が響いていた。
 それは不思議な音楽だった。穏やかでありながら冷たく、美しくも奇妙であり、心を静めながらも掻き立てる総ゆる矛盾に満ちた『音』だった。
 神聖な奇跡の光さえ帯びながら、ふわりと浮かび上がり音を奏でた少女の名はカタラァナ。
 連合軍は、魔種は、神威の竜は――フェデリアに生き残る全ての歴史の証人は彼女の青き歌を聴いた。万物の滅びたる大海嘯が彼女だけを呑み込んで消えた時、ハッキリしたのは二つばかり。

 一つ、誰もがあの少女と永遠にお別れしなくてはいけなくなった事。
 二つ、この戦いに『明らかな勝機』が生まれ落ちた事。

 ――旧き血、我が信仰。コン=モスカ――

 人心と竜心は共鳴し、滅びの暴君の覇気をこの瞬間和らげている。
 唯、そこに在るだけで圧倒的な破滅は実際の所何一つ変わっていないのだが、切り札に水神様の封印を握りしめる連合軍にとって僅かな時間は砂金の一粒よりも貴重なものだった。
 リヴァイアサンが『戻る』より前に仕掛けるしかない。

 ――総攻撃――

 誰かの号令が下された。
 対の前脚を、腹部を、尾部を、頭部を。残りの力を振り絞るように連合軍は攻め立てる!
 リヴァイアサンが再びその暴威を取り戻す前に叩き、叩き、叩く!

 ――おのれ、人間共――

 絶対の暴君より初めて痛恨の声が漏れた。
 大海嘯の不発は彼から一時的に余力を奪っている。ドレイクが幽霊船を餌に『主砲の無駄撃ち』を引き出した意味もあろう。誰か――例えば、マリアとか――が無駄と諦めずその巨体を削り続けた事も奏功したのかも知れない。自然そのものであり、弱体化したとはいえ神威を持つリヴァイアサンが永遠に黙っている事等有り得ないが、力を再び集めるまでの時間、大海嘯ばかりは有り得ない。
 ならば、結論は一つである。彼女が――あの愛すべきカタラァナが作り出したこの隙を生かす事のみが、全ての勇者達に課せられた絶対にして唯一の使命に違いなかった!
 そして、加えるならば好都合はもう一点存在している。
 それは即ち――
「成る程ね、やってくれるわ。イレギュラーズ!」
 ――『冠位魔種アルバニアがブラッド・オーシャンに取り残されている事』に他ならない。
 元より倒さねばならない元凶である。仲間の命をこれ以上失わせぬと思うなら、絶対に越えねばならぬ大壁である。彼を仕留めるならばこれ以上のタイミングは無く。残されたリミットは、リヴァイアサンが再びの大海嘯を起こすまで、或いはアルバニアが『最大権能』を取り戻すまでとするしかあるまい。
「逃がさない」と告げればアルバニアは凄絶で獰猛な笑みを浮かべて言葉を返す。
「逃がさない? 逃げないわよ、最初から」
 全身を覆う魔性を今度こそ完全に解放した彼は言う。
「第一、アンタ達を逃がさないの間違いでしょ?
 全部の勘違いを教えてあげるわ。冠位アルバニアを舐めるんじゃないわよ!」

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''※カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)さんがPPPを発動し、『コン=モスカの使命を思い出しました』。''
 ''彼女の竜心共鳴により、神威の一部が吸収され『大海嘯』が止まりました!''
''『煉獄篇第二冠嫉妬』アルバニアとの決戦が始まりました!''


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