#author("2020-01-20T17:43:04+09:00","","")
*TOPログ [#q2e553e7]
#author("2020-10-31T16:54:12+09:00","","")

**海洋王国・叙勲 [#d069d512]
「皆の者、此度は実に良く働いてくれた!
 ローレットの活躍もあり、海洋王国は外洋征服の足場固めに成功した。
 更には横槍を入れてきた鉄帝国を撃退し、後顧の憂いさえ最早無しじゃ!
 これは全て――とまでは言わないが、そなた達の活躍なしには語れぬ成果じゃ。
 このイザベラ・パニ・アイス、王国を代表して礼を言うぞ!」
 この二カ月程、海洋王国大号令に全力を挙げて協力してきたローレットに海洋王国女王イザベラ・パニ・アイスより招待状が届いたのは突然の出来事だった。
 煌びやかな王宮、その謁見の間――
 代表して特に赫々たる成果を挙げたと言えるイレギュラーズ十人を出迎えたのは荘厳なる式典と、政治家から軍人まで――海洋王国を代表するかのようなお歴々による万雷の快哉であった。海洋王国にて最も重要視されてきた大号令に纏わる話とあってか、今日ばかりは普段反目しあう事も多い海種と鳥種の主導権争いもなりを潜めており、どの顔も一様にローレットと勇者達への賛辞を惜しむ様子は無い。
「この度はッ! 我が女王陛下より直接の御招待を賜り!
 我が女王陛下の御前にてこのような光栄に浴せる事、本当に、本当に、本当に恐悦至極に存じます!!!
 今後共、粉骨砕身! この秋宮史之、全身全霊をもってその美しき顔に曇り一つ残らぬよう――」
「――あの、ええと。そうね、お招きとお褒めに預かりどうも。
 私達の仕事が王国の眼鏡にかなったというなら、それはとても素晴らしい事だわ」
 もう見るからにテンションが余りにも上がり切って、突き抜けて、マックスにハイを掛け合わせたような秋宮・史之(p3p002233)に続き(ちょっと抑えるように)、見た目のなりこそ少女だが、貴族としての所作に澱み無く、アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701) が応じれば、場は大いに沸いた。
「まぁ、海洋王国縁の民としてはね。当然ですよ、これも親愛なる女王陛下の為ですから」
 普段は昼行燈を気取るタイプである。十夜 縁(p3p000099) は、腹に抱える感情も含め、こういう場に立つ事を実際余り好みはしないのだが――いざ立ってみればもうそれは仕方ないという事だ。その言葉は如才なく涼やかな調子は実に様になっていた。
「そうだな。海洋王国軍人としては――この場に浴する栄誉は理解している心算だぜ。
 だが、それより何より。王国の民ならば『大号令』に借りがない人間は少ないさ」
 更に続けたエイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)の父――アキアン=フィセテル=グラキオールは息子と同じ軍属であり、その彼が二十二年前の海洋王国大号令で行方不明になったのは古株の軍人の中では知れた話であった。脇に立つ軍服の面々は彼の言葉に重く頷き、同時に父親の借りを返さんとばかりに英雄としてこの場に立つ息子に惜しみない拍手を向けていた。
「うーん、いざ出会ってみるとこういう場も中々いいですね!
 こっちの冒険は大分『物理寄り』だった気もしますけど!」
 ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は人並みに正義の味方に憧れ、人並みに他為への憧れを持っている。
 まさか自分がイレギュラーズになるとは――
 そんな風に思っていた頃もあったが、これだけ大々的に持て囃されると、
(私、案外向いてるとか?)
 ……そんな気になるのも事実である。
 彼女は普通に育ち、普通に暮らし、少女時代を過ごしてきた普通の子なのだから当然だ。
 感情の昂ぶりで勝手に姿を現す尻尾が思わず左右に揺れていた。『物理寄り』ならぬ解明の冒険に精を出す『たいせつなひと』は今日も己のライフワークに励んでいる事だろう。対抗する必要はないがあれもこれも冒険だ。並び立って悪い気はしない。何時か何かの役に立つのかも知れないし――
「くくっ、褒めるがいい! 讃えるがいい!  妾は名門クラーク家の末娘、この程度は当然なのじゃからな!  朝食前どころかお夜食前なのじゃ!」
「すごい歓迎、すごい式典だっきゅ……」
 褒められるのもちやほやされるのも大・大・大好きだ。そんなデイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370) にとって、この場は余りにも『最高』過ぎた。一方でこの世界における異邦人(ストレンジャー)である所のレーゲン・グリュック・フルフトバー(p3p001744) には海洋王国が長らく抱える執念はぱっと理解出来るものでは無かったかもしれない。
 見た目が何とも複雑(アザラシ)な彼の場合、
「流石、海種を思わせる仲間である。やはり鳥種とは違うな!」
「馬鹿をいえ。勇者はウォーカーだ。簡単に海種如きと同じにしないで貰おう!」
 荘厳な式典の一方で起きる何とも海洋らしい笑えるやり取りの的になっていたりもする。
「……きゅ?」
「こんな感じの国なんですよねぇ」
 小首を傾げたレーゲンにしみじみ頷いたのは傍らのベーク・シー・ドリーム(p3p000209) だった。
 見た目(たいやき)という意味では全く他人の事を言えないなりだが、ベークはギフトの影響を受けているとはいえ確かに海種である。
「男の人はそういうのが好きなのです。
 特に海の男は、冒険心と敗れざる誇りを忘れてはいけないのです。
 ……まぁ、私は女なのですが」
 ぼんやりとした調子で相槌を打つマリナ(p3p003552) は祖父に聞かされた海の話を思い出していた。
 そんなに熱血するようなキャラではないのだが、こと海に関わる話なら――その先に『絶望の青』が待つというならば話は別だったのかも知れない。気付けば彼女は冒険に冒険を重ね、『らしくもなく』こんな場所に居たという訳だ。
 成る程、祖父の薫陶は正しかったのだろう。男女関わらずマリナは確かに海の民だった。
「全体的にはちょーっと鳥種が押され気味だったかも知れないけどな。
 まだまだ本番はこれからだ。本当の勇者でも英雄でも――やれるだけはやってやらねえとな」
 先の縁も含めてこの場に立つ海種は実に四人。海種ではなくそこはかとなく海種っぽいレーゲンまで数に入れるならば五人である。故にカイト・シャルラハ(p3p000684) は場を二分する鳥種達の「ぐぬぬ」の矛先を逸らす最高の材料だった。大見得を切れば鳥種陣営から本日最高の歓声が上がっていた。その中には成長した息子の姿に頷く父親の顔もある。
 ……ともあれ、イレギュラーズ達が如何に凄まじい歓待を受けたかは良く分かって頂けた事だろう。
 ややのんびりとした代理戦争やら、実際の所これからが本番だとか、これからが本番だから思い切り盛り上げ持ち上げておこうという意図だとか――あれやこれや色々な思惑こそ見え隠れするが、今日の良き日がイレギュラーズにとって、ローレットにとって一先ず素晴らしい結果を伝えている事だけは間違いがない。
「ありがとう、勇者達よ!
 海洋王国はそなた達の功績を讃え、ここに海洋王国特別勲章を授与する事とする!」
 勲章は良いものだ。体の良い首輪かも知れない。下心がある何かかも知れない。
 でも他人の為に役に立てた証明で――何より。それなりに気持ちがいいものだから。


''※『海洋王国事業貢献値』が確定しました。''
 ''最終ボーナスとして下記が加算されています。''

''・特別クエスト『子午線のざくろ』''
 ''クリア回数1:+5''
 ''クリア回数10以上:+15''
 ''クリア回数上位10人:+30''

''・海洋王国名声値''
 ''100以上の名声値を持つ人物:名声値の1/10(端数切捨)のボーナスを獲得''

 ''海洋王国事業貢献値を持つ全てのイレギュラーズに『大号令に続きし者』の称号を獲得しました!''
 ''また海洋王国事業貢献値上位十名に個別の称号と『海洋王国特別勲章』を獲得しました!''


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